ぼちぼちロンドン

人となりは柔らかく、あり方は力強く。

20180209

 

f:id:decorative_art:20180208185320j:image

油断すると時間は人をも置き去りにする。ついつい、わたしたちは自分たち人間がすべてを司っているような気になるが、社会を回しているのは時間だ。それに気づき、時間という概念を作り上げた点に、先人の賢明さが光る。

となんだかんだ言いながら、つまりは更新が止まっていた言い訳をこねくり回しているだけ。

さて、沈黙の間に行った展覧会を。今回はBasquit: Boom for Real。

f:id:decorative_art:20180209040508j:image

f:id:decorative_art:20180210195418j:image

 

会場のBarbican Centreの近くに、イギリスのストリートアーティスト、Banksyの作品が。もともとは店舗の壁やシャッターに反社会的なフレーズをペイントしたところから始まったBasquiatが今や大衆的なアーティストと化していることを揶揄しているのか。ただ、そのBanksyの作品がビニールシートで保護されていることもまた皮肉的。

f:id:decorative_art:20180208185319j:image

展示自体はとても見応えのある面白いものだった。初期のSAMOとしての活動から始まり、路上で1ドルで売り歩いていたというポストカードの作品群、ウォーホルとの関係、インスピレーションとなった音楽、文学、美術など。ひとりの人間の中にこれだけの膨大な知識が溜め込められるものなのかと圧倒させられる。

現代アーティストに対して頻繁に投げかけられる疑問、「なぜこんなに有名なのか?」。そのメランコリックな表情、目を落として微笑む恥ずかしげな笑顔、路上生活から時代の人にまで上り詰めるドラマチックな人生、そして早すぎる死、どれを取っても人々が喜ぶ要素ばかりだ。というか、まず名前がロマンチックすぎるじゃないですか。Jean-Micheal Basquiatなんて。

そして、彼の作品はやさしい。どんなにシニカルな視線が背後に見て取れても、その明るい色調とコミカルに抑えられたデザインは、人を傷つけない。delightfulという言葉がしっくりくる。

そうそう、Basquiatといえば、ZOZOTOWNの前澤氏がSotheby’sにて大作を勝ち取ったニュースが記憶に新しい。いまや、Basquiatの名前を聞いて前澤氏を思い浮かべるひともいるほど。日本アート界でまた光を浴びる機会を作ってくれたBasquitなんです、ぜひ日本にも巡回してほしいものです。